開花した人
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不遇の時代を経て、初めてのグランプリを獲得



(写真下)作品名『Jewelryジュエリー』
ジュエリー界のオスカー賞と言われる「HRD AWARD インターナショナルダイヤモンドジュエリーコンペティション」。2015年、この世界的なコンテストで日本人初のグランプリを受賞したのが、小寺智子さんです。
「大学卒業後、テキスタイルのデザイン会社に就職しましたが、数年後に退社。退社後に、アメリカやヨーロッパを遊学しました。旅の途中でフランクフルトの友人宅を訪問した時、パールのピアスをつけた友人の赤ちゃんに出会いました。その美しさに魅了されて、滞在中にわたしもピアスホールを開けてしまいました。その後、アメリカに渡った時に初めて、一眼レフカメラを購入。あの旅で得た“ピアス”と“カメラ”の2つの経験は、後の私の人生に大きな影響を与えました」
帰国した小寺さんは、旅の経験をきっかけに、ジュエリーデザイナーに進むべきか、カメラマンを目指すべきか思案します。なかなか夢に向かって踏み出せずにいたこの時を「停滞の時代ですね」と冗談めかすように語ります。 その後、高校時代の恩師のアドバイスをきっかけに専門学校に入学し、デザインコースとメイキングコースを優秀な成績で修了。そんな小寺さんは、学生生活の集大成として、日蘭合同のジュエリー展に応募しました。作品名『Jewelryジュエリー』
「ストレートに“身につける面白さ”を表現したいと考えていました。ジュエリーを物で完成させようとすると、元になった感情や思いが、形にできるかどうかという制約に縛られてしまうんです。だから、瞬間的に感情を表せる“写真”を“ジュエリー”の作品として応募しました。題材は“もみ殻”。人の体に勝手に付いてしまうもみ殻と、自分の意思で付けるジュエリーの方向性の違いを表現したかったんです」
“もみ殻”を切り取った作品『Jewelryジュエリー』は、見事グランプリを受賞。この作品は「HRD AWARD」でグランプリに輝いた『Rice husks もみ殻』の原点でもあります。 「人生が開花したのは、この時かもしれませんね。“一番をとった”ことは、その後の人生で、心の拠り所になりましたから…」
「柏圭」のプロダクトを担う、トップデザイナーへ


「柏圭」のプロダクトを担う、トップデザイナーへ
専門学校を卒業後、アルバイトが縁で宝飾品事業を手がける「柏圭」に入社。入社当初は意外にも、営業アシスタントをしていたといいます。 「でも、事務系の仕事が未経験だったので、失敗ばかりでした(笑)。書類を延々とプリントアウトしてしまったり、収支計算が毎日のように合わなかったり…。見かねた当時の営業課長の助力があって、デザイン部へ転属させていただきました」
念願のデザイン部へ配属された小寺さんは、水を得た魚のように仕事に邁進したそうです。 「この時、ジュエリーデザイナーとしての私の人生がスタートしました。当時は、デザイン画を、1年で100型ぐらい起こしましたね。おそらく、今では考えられないほどの数ではないでしょうか? 会社の基盤となるプロダクトを、たくさん作らせていただいたと自負しています」
その後、1996年より自身の名を冠したデザイナーズブランド「TOMOKO KODERA」をスタート。10本の指それぞれの斜度に合わせてデザインされたリングや、耳の厚さや形に合わせて微調整できるピアス・イヤリング…。デザインに対する真摯な姿勢から生み出される小寺さんのプロダクトは、つけ心地、デザイン性ともに秀逸そのものです。
「TOMOKO KODERA」ブランドは、必然的に大きく成長しました。
世界的なジェエリーコンテストで日本人初のグランプリを受賞

世界的なジェエリーコンテストで日本人初のグランプリを受賞
ジュエリーデザイナーとしての揺るぎない地位を築いていた小寺さんですが、2015年、さらに大きな称号を手にします。「HRD AWARD」にて、『Rice husks もみ殻』がグランプリを受賞。日本人初の快挙でした。 「グランプリをいただいた“もみ殻”は、学生時代に受賞した『Jewelryジュエリー』を立体化したものです。私にとって大事すぎる作品だったので、受賞が決まるその日まで、緊張し通し。『受賞できなかったら、自分が否定されたように感じるかも』と不安にもなりました」 しかし、小寺さんの心配をよそに『Rice husks もみ殻』は、満場一致の称賛を得て、グランプリに輝きました。
「出催国は、多くの人種が集まるアントワープ。国の文化や観念を超えて、一般的に誰もがイメージするジュエリーの形状でないこの作品がジュエリーとして評価されたことに、大きな意味を感じます。今後は、身につけるために作られるプロダクト以外にも、“もみ殻”のようにエモーショナルなものも作品として作っていきたいですね」
小寺さんのデザインした優美なジュエリーは、これからも、多くの女性に幸せと美しさを運ぶことでしょう。
人の心に響く、
エモーショナルな作品を
作りたいですね


あなたにとって
「美しさ」とはなんですか?
自然体であること
「毎日、良いこともあれば、そうでない日もありますが、自然に生きられる道を選ぼうと思っています。それが、“美しさ”であればと願っています」
あなたが好きな花はなんですか?
桜
「桜の花びらが肩や頭に舞い落ちたとしても、きっと誰もが取り払わずに、その時間を楽しむものだと思います。そういう情感のあるものが好きで、桜をモチーフにしたプロダクトも作っています」
お肌のお手入れ法は?
睡眠をたっぷりとる
「特別なことはしていませんが、肌を乾燥しない状態にして、平均7~8時間は寝るように心がけています」
朝のお手入れ時に、とても気持ちよく、パシャパシャと使っています。
パッケージの赤は、とてもエレガントで、一日の活力を与えてくれます
レジェネラン ボタニカルウォーター コンセントレ